皆さまいかがお過ごしでしょうか。stepです。今回は「レッドウィング rw-8285 100周年記念モデル」を自分で修理・補修をしてみたのでその方法を紹介したいと思います。
修理の前に今回の靴について簡単に説明しますと、この靴の型番はRW-8285。レッドウィング創立100周年を記念して2005年に限定2005足で販売されたモデルです。なので1足ずつシリアルナンバーが ○○○○ ・2005といった具合にタグ部分に刻まれています。又、くるぶしのあたりには100周年のロゴも入っています。材質としてはアッパーレザーはホーウィン社製クロムエクセルレザー。ソールは4.13mmのイタリア製のレザーソールが採用されています。ちなみにホーウィン社はオールデン社の革を扱うことでも有名だそうです。
100周年記念ロゴ
100周年記念タグ
以前からこの靴はちょっと気になっていたのですが(特にプレミアがあるとかそういう靴ではないです)、なかなか自分のサイズと価格が合わず購入出来ずにいました。その靴を今回中古ですが、めでたく購入することが出来ました。しかもかなりリーズナブルな価格で。ただ、大分使い込まれてイタミもある靴ですのでこの先も長く履く為にrw-8285の自分なりの補修とリフレッシュの様子を記事にしたいと思います。このブログでも紹介しましたが、stepはレッドウィングのベックマンが好きでよく履いている訳ですが、rw-8285を気に入った理由も形が好きだからです。 まあ、rw-8285はベックマンの原型になったモデルとされているようですので似ているのは当然ですね(笑)。
いきなりですが修理・補修が完成した写真がこちらです。どうでしょうか。
修理・補修(DIY) のおおまかな流れ
今回のrw-8285の修理・補修のざっくりとした工程は
1.既存の剥がれかけたハーフソールの除去
2.靴の丸洗い
3.かかとの補修(シューズドクターN使用)
4.ハーフソール張り替え(ソール用ゴムシートを使用)
5.アッパーレザーの補色・傷補修・靴磨き
6.靴ひも(シューレース)の補修
7.完成
といった流れです。それでは早速作業をしていきます。
購入時の状態と既存のハーフソール剥がし
購入時はこんな感じでした。
正面は結構傷がついていますね。このまま履いてもワイルドでカッコイイのですがstepはもう少し綺麗でクラシックな感じに履きたかったので補修します。
横から
後ろはこんな感じ。かかとはまだ履けますが、早目に補修しておきます。
前の持ち主がオリジナルのレザーソールの上にハーフソールを張っていましたが、剥がれ等のイタミがありました。stepもレザーソールは好きですが、やっぱりレザーソールの減り防止と滑り止めの為、古いハーフソールは剥がしてまた新しいラバータイプのハーフソールに張り替えます。
劣化が進んでいましたので割と簡単に手で剥がす事ができました。
靴の丸洗い
私は長く履いている靴や、中古で購入した靴は丸洗いしてよくリフレッシュします。なので今回もざぶざぶと洗っていきます。
紐を外してぬるま湯シャワーで外側・内側をやさしく入念に洗います。ちなみに専用のレザーソープ等は持っていないので人間に使う石鹸でいつも洗っています。 靴にいいかはわかりませんが 、人間の肌に使えるものなので少なくとも悪いということはないと思います。石鹸でよく洗った後はバケツにぬるま湯を汲んでよくすすぎます。
脱水は洗濯機でしてます。推奨できない脱水方法なので自己責任で。
脱水後まだ革が濡れているうちに形を整えながら新聞紙を適当な大きさにちぎり、丸めて詰めていく。外側がある程度乾いたら中の新聞紙を取って後は完全に乾かす(結構時間がかかります。季節にもよりますが2日間位放置)。
丸洗い後。写真ではあんまり綺麗になった感じはしませんが、実際は以前塗られていたオイル等の汚れも取れてスッキリです。
かかとの補修
[準備したもの]
○シューズドクターN(ブラウン)50ml
○アクリル絵の具(100円ショップで購入)
○マスキングテープ
○ガムテープ
[かかと補修の手順]
1.マスキングテープで肉盛り範囲を決め、付属のヤスリで平滑にする(汚れ落とし・脱脂を兼ねる) 。
2.ポリ板で肉盛り範囲を巻く。引っ張りながら隙間が出来ないように。※ポリ板はツヤがある面を内側(補修する面になるように)する。そしてガムテープでポリ板をしっかり固定(シューズドクターNを充填している際にちょっとでもずれたりすると漏れや気泡の原因になります)。
3.シューズドクターNとアクリル絵の具を混ぜて既存のかかとに近い色を作る。
4.シューズドクターNを充填 。ヘラで奥までしっかり充填するように押し込む。気泡が出来ないように念入りに。ポリ板は半透明ですので外から充填具合を良く確認。
5.余分なシューズドクターNを定規でかき取る。 付属のヘラでもいいのですが長いもので一発でかき取る方が仕上がりが綺麗です。
6.乾燥(24時間程度)
このまま乾燥。
7.マスキングテープ・ポリ板を除去
細かいキズのような空洞ができてしまいましたが深いものではないのでこれでOKとします。もし表面を綺麗にしたい場合はもう一度シューズドクターNを上から薄く塗れば綺麗になります。何度かシューズドクターNは使用していますがなかなかうまくいきませんね(笑)。
8.かかと補修完了。
ハーフソール張り替え
[準備したもの]
○ソール用ゴムシート(170mmx220mm 厚3mm)×2枚
○接着剤 (コニシのGPクリアーを使用しました)
○真鍮釘(ホームセンターでも購入出来ます。100~150円位だったと思います。)
場所によって2種類の長さを使い分けています。
○ドリルドライバー (なければヤスリを手動でかければOK)
○軸付砥石 電動ドリル用(100円ショップで購入)
○タッカー(ダイソーで300円で購入)あれば便利
[ハーフソール張り替え手順]
1.ハーフソールを張る面をやすりやドリルドライバーを使って整える。
写真はダイソーで購入した軸付砥石を使っています
2.ソール用ゴムシートを靴底より少し大きめにカット(ゴムシート1枚だと1足分がギリギリ取れなかったのでシートは2枚使用しました)。A4サイズがあれば1枚でたりるんだけどなあ・・・。
3. ソール用ゴムシートの張り付け。接着面はヤスリで荒らし、ローラーとハンマーでよく圧着。
使う接着剤の説明書で接着方法と時間をよく確認する。
よく圧着する。
しっかり接着できるようにタッカーで固定しました。針は足長8mmを使用してます。
4. 十分な接着時間を置いたらタッカーをペンチで抜いて、はみ出しているハーフソールをカット
5.ハーフソールの角を落とす
6.ソールのコバをヤスリ等で整える
電動ドライバーを使っていますが、やすりで整えてももちろんOK。
張り付け完了。
隙間もなくなんとか張れました。
7.ハーフソールくぎ打ち
かかと部分にはハーフソールに使った材料の余りをシューズドクターNで肉盛りした上に貼って+αの補強に使ってみました。又、ハーフソールには長さ10mmの真鍮釘、かかとには長さ13mmの真鍮釘を抜けにくいように若干斜めにして打ち込んでいます。
アッパーレザーの補色・傷補修・靴磨き
[準備したもの]
○靴クリーム黒と茶(ダイソーでそれぞれ100円)
○トコノール(レザークラフトで床面の処理や革のコバを磨くときによく使うものです)
○革の達人(レザーワックス)
[手順]
1.補色場所と傷の確認
全体的に色落ちやはげがありますが、特につま先の部分のイタミが多いですかね。
つま先の革が深めにえぐれています。
2.つま先のえぐれた傷の補修
革のはぎれをえぐれた部分より少し厚い位にやすりで削り、傷の部分に接着剤で貼り付ける。
えぐれた部分に貼ったレザーとその周辺のレザーが平になる様にヤスリで削る。
黒と茶のクリームを混ぜながら傷部分と周囲の色が馴染むように何度か塗り込んでいく。
トコノールを塗り、木の棒等で擦りながらさらに馴染ませる。
完成。キズ跡はわかりますがある程度綺麗になったのでOKとしました。
stepははぎれレザーを使って補修してみましたが、補修材でコロンブス社から「アドベース」と「アドカラー」という良さそうな商品が出ているのでそちらの方が綺麗に補修できるかもしれません。ちなみに細かいキズなんかはトコノールをつけて磨くだけで結構綺麗になります。
3.アッパーレザーの補色と靴磨き
その他の部分の色落ちやはげも黒と茶のクリームを混ぜながら補色していきました。又、仕上げは「革の達人」で靴全体を磨きました。革の達人は昔から使っていますが結構おすすめです。特に古いレザー製品を磨くといい感じになる事が多いです。
靴ひも(シューレース)の補修
靴ひもは先端部分の筒が取れてしまっていてバサバサでしたのでその補修と、ひもに蝋を塗って締まりを良くしようと思います。
[準備したもの]
○熱収縮チューブ(クリアタイプ)
○蝋
熱収縮チューブは電気配線の仕上げに使ったりするものです。名前の通りヒートガン等で熱を加えるとチューブが収縮します。今回使用したものは収縮前が約4.7mmで熱を加えると約2mmまで収縮する透明のチューブです。
熱収縮チューブは少し長めに被せてターボライターで遠くから熱を加えて収縮させました(ライター系はおすすめ出来る方法ではないので自己責任で。ヒートガンやドライヤーの方が安全だと思います)。収縮後に先端は所定の位置でカット。
こんな感じになります。
蝋をひもに擦りこんでいるだけです(笑)。
2本とも先端の処理及び蝋を塗り込んで完成。蝋が光ってるのが分かるでしょうか。
完成
補修したひもを靴に通して全工程完了です。
どうでしょうか。光の当たり方で赤茶っぽく見えますが焦げ茶と言った方が実際の色に近いです。
正面より
後ろから
最後に
今回は「レッドウィング 8285 を自分で修理・補修する」という記事でしたがいかがだったでしょうか。革靴は定期的にメンテナンスすることで格段に寿命は延びますし愛着も湧くと思うんです。その方法は人それぞれで、靴のプロにお願いすれば素早く綺麗に仕上がりますし、簡単なことなら自分でやれば費用を抑えるなんてメリットが出てくるかもしれません。特にソール・ヒールなんかは早めに自分で補修することを心がければ張り替えや交換の時期を遅らせることも出来ますよね。さらにそんな靴の手入れが趣味や楽しみの一つになれば一石二鳥でいいことずくめです。今回のような中古の靴でも自分なりに手入れをして履くのは新品とはまた違った嬉しさがあるものです。
私は何でも自分でやることがいいとは思いませんし、その時々で最良の方法が選択出来ればいいと思っています。ただ、色々な手段・方法があるということを知っておけば選択の幅も広がるんじゃないかと思いますのでこの記事も「靴の素人がこんなことをやってやがるな」ぐらいの感じで読んで、一つの方法として記憶に留めておいて頂けたら嬉しいです。
いずれにしても気に入っているものとは末永く長く付き合っていきたいものですね。
それでは、最後までお付き合い頂きありがとうございました。腕時計に乾杯!