皆さまいかがお過ごしでしょうか。stepです。
今回は手巻き時計のムーブメントが壊れた(ゼンマイ切れ?)のでムーブメント交換の様子を記事にしました。ちなみに新品のムーブメントに交換した訳ではなく部品取りの似たような時計からのムーブメントを取り外しての交換です。
壊れた時計は手巻き17石。文字盤の色(落ち着いたグレー)が気に入って以前に購入したものです。ケースサイズは35mmと程よい大きさ。
ただ、この時計は文字盤もリダンされている?やムーブメント、ケースもそれぞれ昔の部品を組み合わせて作ってあるっぽく、謎な部分が多い時計です(一応文字盤にメーカーロゴがありますが)。ですので画像では一応ロゴは伏せて説明しようと思います。ちなみに部品取りの時計も似たような作りの時計。文字盤にはキャラクターが描かれています。
準備したもの
○裏蓋はずし(こじあけ工具)
○精密ドライバー
今回使用したのはマイナスドライバー1本でした。
○チャック袋(針を抜く時に文字盤に被せてキズ防止に使用する)
100円ショップにも売っています。stepはそれを切って広げて使っています。まあ、薄いビニールなら何でもいいと思いますので家を探せば何かしらありそう。
○ペットボトルのキャップ(ムーブメントの台として使用)
○剣抜き(針抜き)
stepは安いものを使っていますが、精度が悪かったので自分なりに修正して(軸をまっすぐにしたり、先端を削って薄くしたり)精度を上げてなんとか使っています。腕時計の針はかなり繊細なものなので明工舎やベルジョンのような信頼できるメーカー品を使用した方がいい。ゼッタイ。高いですが。
○針押さえ
stepは明工舎の 「MKS21200」を使っています。
白い先の方に1.0mmの穴、黒い先の方に0.5mmの穴がそれぞれ中央に開いています。
○裏蓋閉め器
stepは安いものを使っていますが特に不自由なく使えています。
作業手順
それでは早速作業していきます。
1. 2つ時計を用意。
左の部品取り時計の正常なムーブメントを取りはずして右の時計に組み替えます。ケースの形はよく見ると若干違うようですね。
左:部品取りの時計 右:ムーブメント故障時計
2.壊れた時計の裏蓋をこじあけ工具で開ける
裏蓋を開けて見ると・・・フムフム、なかなかの錆ですね(笑)。
3.巻き芯+リューズを抜いてムーブメントを取り出す
ケースからムーブメントを取り出すには巻き芯+リューズを抜く必要があります。ちなみに巻き芯の先端にリューズがねじ式で止まっている構造です。
巻き芯+リューズを抜くにはオシドリ(リューズが抜けないようにロックしている部品)を押しながら抜くのですが、時計によってオシドリの位置が異なるのでまずはその位置を探す必要があります。
だいたいはリューズ付近にあることが多いようです。ただ、ネジ止め式やプッシュ式など数種類あるので事前に情報を集めたり、機械を目の前によく観察した方がいいです。
ちなみに今回の故障した時計はドライバーの先端の部分(↑写真参照)にありました(ネジ止め式)。精密マイナスドライバーでネジを緩めると巻き芯が抜けますが、緩めすぎるとネジがオシドリから外れてしまうので注意が必要です。ほんの少しづつ緩めながら様子を見つつ、慎重に抜くのがいいと思います。
通常は巻き芯の先端にリューズを付けたままで抜けるのですが、今回の時計は巻き芯の太い部分がケースの穴に引っ掛かって、そのままでは抜けなかったのでリューズを外して、さらにムーブメントを取り出した後に巻き芯は抜きました。ちょっと何言ってるかわからないかもですね。すみません。
リューズ自体は巻き芯の先端にネジ式で止まっているだけなので簡単に外せます。
ムーブメント取り出し完了。上部の白い輪はムーブメントを固定する部品というか隙間を埋めるスペーサー的なものです。
4.針を抜く
取り出したムーブメントに一旦抜いた巻き芯+リューズを戻して針を抜きやすいように一直線に合わせる(時針・分針・秒針)。この時計はハック機能がないので秒針が止まったところで一直線に。若干ズレてるけど(笑)。
stepの剣抜きはこれです。安物を何とか調整して使っていますが、やっぱりいい工具が欲しいです。でも先立つものが・・・
文字盤に傷つけないように薄いビニールを被せて針3本を一気ズバッと抜きます。意外と思い切りが重要かも。位置が決まらずぐりぐりやっていると針が曲がりますので要注意。
針の取り外し完了。
5.文字盤を外す
文字盤を外したところ。
本当はピン2本で固定されているはずですが、片方のピンは折れていました。まあ、新ムーブメントに取り付ける際は両面テープかなんかでプラスアルファ固定したほうが良さそうですな。
6.部品取り時計の正常なムーブメントを取り出す
新しく交換するムーブメントは錆もなくなかなか綺麗ですね。
こちらのオシドリ部分はネジ止め式ではなくプッシュ式でした。ドライバーの先端がその位置です(↑写真参照)。押しながらリューズを抜きます。
以降、ムーブメント取り出しの手順は一緒なので省略。
7.交換したムーブメントに文字盤取り付け
新ムーブメントに文字盤を取り付けます。文字盤の固定ピンが1本しかないので適宜両面テープも併用しながら取り付けました。
8.針の取り付け
時針・分針・秒針は12時の位置にピッタリあわせておけば問題ないかと思います。針押さえはやさしく押し込む。白い先端(中央に1.0mm穴)の方で時針と分針を、黒い先端(中央に0.5mm穴)の方で秒針を押さえました。
強く押すと針が曲がるので注意。力加減はいつも迷いますね。stepの場合はこんなもんかな(笑)で使用中に外れたことはないのでいつも適当に作業してます。
針が付け終わったらリューズをグルグル回して時針・分針・秒針が接触しないかをよく確認します。
針の取り付け完了。ムーブメントの台に使っているのはペットボトルのキャップです。
9.ケースにムーブメントを収める
手順は外した時の逆なので迷うこともないと思います。無事完了。
10.裏蓋を閉める
手でうまく閉まらなかったので、裏蓋閉め器を使用しました。
安いものを購入してずっと使っていますが特に不自由に感じたことはありませんし、時計を壊してしまったことも今のところありません。ただ、上下のディスクのサイズ選びと力加減は慎重に。
11.完成
という感じでムーブメントの交換が完了しました。
大まかですが手順は以上です。
まとめ
今回は「手巻き時計のムーブメント交換」をしてみました。
やっぱりお気に入りの時計は少しでも長く使いたいですね。又、手を掛ければ掛けるほど愛着もわいてくるものです。
ムーブメントを交換した時計はその後、動作も問題なく元気に動いています。またしばらく使えそうです。
それと、今回みたいな作業は大事な時計を壊してしまう可能性もあるのであくまで自己責任で。
それでは、今回はこの辺で。最後までお付き合い頂きありがとうございました。腕時計に乾杯!